余命〇〇

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 ただ、その日から正樹は特に由梨恵を気にするようにした。  どうしても外せない用事などもあったけれど、出来る限り側について話を聞くようにした。  自分に出来ることは少ないけれど、残り少ない彼女との時間を大切にしようと思った。  そうして、ひと月……またひと月と時が過ぎていく。  彼女の時間が、削られていく……。  半年。  短い時間だったが、その半年という時間は正樹が心の整理をつけるには十分だった。  勿論悲しみなど言葉に出来ない感情はある。  だが、それを受け止めるための時間は過ごせたはずだ。  だから、半年後。  こんな風に悲しみに押しつぶされる様なことになるとは思ってもいなかった。
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