余命〇〇

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 おかしいと思い始めたのは、残りひと月となった頃だったか。  由梨恵は具合が悪そうなときが何度かあったが、入院するようなほどではなかった。  余命と言われるくらいなのだから、突然倒れて亡くなるという事はないだろう。  徐々に悪化して、最終的にその頃に亡くなるといった感じのはずだ。  不思議には思ったが、その頃の正樹は忙しく疲れていて妻に追及することもしなかった。  あの時少しでもちゃんと話をしておけば良かったのではないかと、今更後悔をする。  だが、すでに終わってしまったこと。  何もかもが遅い。  自宅のダイニングテーブルに正樹は頭を抱えるようにして座っていた。  ゆっくり顔を上げると、向かいには由梨恵が微笑んで座っている。
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