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余命〇〇
「ねぇ、わたし……余命半年なの」
優しげな微笑みなのに、蠱惑的な弧を描いている様に見えるのはどうしてなのか。
紡がれた言葉の儚さ故なのか。
いや、今はそんな事よりも事実を受け止めなければ。
「それは、本当の事なのか?」
正樹は妻の由梨恵に確認した。
微笑む彼女の様子からは、悲観している雰囲気が感じられない。
いや、それすらも越えて受け止めているのだと思えば違和感は覚えないが。
「本当よ。もって半年、そう言われたわ」
そうして悲しげに睫毛を伏せる様子に、正樹はやっと本当の事なのだと実感出来た。
出来てしまった。
「そんな……」
そう呟いた自分の感情は、どんなものだったのか。
外目にはただただショックを受けているだけの様に見えただろう。
だが、内側は様々な感情が入り乱れていて一言では表わせられなかった。
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