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簡単に病状の報告も受けた。
意識の無い状態で後頭部から床に倒れたので、後遺症が出るくらい脳が損傷してもおかしくない状況だったが、頭蓋骨のひびの状態と比べて奇跡的に脳が無事で、しばらく入院すれば大丈夫だろうとのことだった。
それは、単なる幸運だったのか?
それとも、本当はもっと損傷していたのか?
封印が、弱くなっている…。
教団に、ここを察知される!
ここにも、あまり長くはいられないかもしれない…。
「隣の奥さん、しばらく入院になるけど、ちゃんと治るみたいよ」
そう言って笑顔を浮かべる美琴の表情は硬く、光を不安にさせた。
「姉さん、あの感覚はなんだったんだろう?姉さんは何か知ってるの?」
美琴はキスで光の唇を塞いだ。
「その話は、もうおしまい」
その話?
光は何か掴みかけていたものを、忘れた。
翌日、美琴は仕事を辞めた。
元々、普通の生活をしている住人に見えるように、最低限の仕事をしていただけだ。
もう光を一人にしておくことはできない。
「姉さんどうしたの急に?」
美琴は最低限の荷物だけ、あの日、初めてここへ来た日に持っていたスーツケースに詰める。
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