嘘で救われる僕と、救われるという嘘 その1~2

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 他の家具はこのまま放棄してまた買い直せばいい。  引っ越し業者などを頼めば、足が付いてしまう。  教団で自分に匹敵する霊能者は数えるほどしかいない。  それでも、封印の弱った光が、昨日奇跡を行ったのなら、感じ取っているはずだ。  奴等は、24時間、必死に網を張っているのだから。  「光…」  「何、姉さん」  「しばらく、また旅に出ましょう…落ち着くところは、その途中で探すわ」  「そう、姉さんがそう言うなら、ついて行くよ」  美琴は悲しい目で光をじっと見つめ、ぎゅっと胸に抱きしめた。  「ごめんね、せっかく穏やかに暮らしてたのにね…」  光の髪に顔を埋めて息を吸い込むと、愛しさに涙が溢れてくる。  そのまま窓の外に目をやる。  怪しい人影は見えない。  目を閉じ、感覚を解放して索敵すると、まだ遠いがここに向かう霊気のベクトルを感じた。  美琴は抱きしめていた光を離すと、光の髪を一本抜いた。  「?」  それをテーブルの上に置いて美琴が何か唱えると、何だか急にそれが存在感を増した気がした。  「光のコピーロボットみたいなものよ」  そう言って美琴は神棚に祀っていた何かを取り出し、懐にしまった。  「行こう、光」
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