嘘で救われる僕と、救われるという嘘 その1~2

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 記憶に残る美琴の感触に、また体が反応するのを止められなかった。  この、自分を取り巻くもやもやした、掴みどころのない世界は、姉を愛した自分への罰なのか?  いや、そうじゃなくて…。  何か掴みかけたように感じた思考は、またしてもすり抜けていってしまう。  そして、何を考えていたのか忘れた。  目を上げると、じっと美琴がこっちを見ていた。  そして、優しく微笑んでいる。  そう、いいんだ、幸せなら、それでいいんだ。  山中を切り開いた広大な敷地にそびえ立つ神殿のような建築物。  「雪絵さま」  建物の中の、古代ギリシャ風の大広間の中にある巨大な祭壇は、神社を思わせる作りだった。  何ともちぐはぐな施設だが、それを強引に納得させてしまう存在感を、雪絵とよばれた人物が放っていた。  巫女の姿、輝くような美貌と近寄りがたい迫力、側近の一人と思われる白装束の男も、離れた場所で跪く。  「何なの?いい知らせかしら?」  「昨日感知された微弱な霊気ですが…今日も複数の者が感じ取りました…まだ、おおよその方角しか探れませんが…」
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