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小さいからインターホンに手が届かなかったのだろう。
光はドアを開けた。
「ママが、ママが!」
女の子の母親に何かあったのだろうか。
光は開け放たれた隣の部屋に入って行った。
キッチンに母親と思しき女が倒れている。
「助けて!ママを助けて!」
救急車!救急車を呼ばなければと思ったが、見回しても固定電話が無かった。
どこかに母親の携帯があるかも知れないが、置き場所の見当もつかない。
電話…そう言えば、なんで僕は二十歳にもなって電話を持たされてないんだろう?
また思考が迷路にはまりかけたとき、女の子の悲痛な叫びで現実に引き戻された。
「助けて!」
光はすっかり気が動転していたが、ひとまず状態を確認しようと、倒れている母親の頸動脈に手を触れた。
「脈はある…」
それで少し落ち着きを取り戻し、様子を観察できるようになった。
呼吸もあるし、口を開けてみても吐しゃ物は無く、窒息の恐れは無さそうだ。
何かの持病とかで、意識を失ってしまったのだろうか?
何となく、光は母親の頭に手を触れてみた。
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