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1週間後
病院
田中さんは心筋梗塞だった。手術は成功し、幸いにも一命を取り留めた。もう少し気付くのが遅ければ命を落としていただろうとの事。今、僕は福本さんと一緒に田中さんの御見舞いに来ている。
「こんにちは。お体の調子はどうですか?」
「お、命の恩人のお出ましかい。ナイトのお陰で助かったよ」
「ははは。田中さん、調子が良くなったら、また将棋指しましょう」
「おお、それは良いの。今度は負けんぞ。そうそう、ナイトも人間ドックを受けといた方が良いぞ。若いとは言え、何があるか分からんからな。今の時代、レントゲン撮るだけでも悪いところは分かるからの」
「そうですね。福本さん、人間ドック受けさせてもらって良いですか?」
「あ、ああ。知り合いの医者に連絡しておくよ」
後日、僕は福本さんに連れられて人間ドックを受けに来た。この辺りでは最も大きい総合病院だ。人間だけでなく、アンドロイドのようなロボットの検査も出来る。ジェミノイドの看護師も多く、最先端の診断が受けられる。
検査の結果、僕の体に異常は無いとの事だ。
「それでは検査は以上です」
「あ、レントゲンって撮らないんですか?」
「レントゲン? 撮らないよ」
「撮ってもらっても良いですか? 知り合いからレントゲンだけでも撮ってもらえって言われてまして……」
「別に構わんが……」
お医者さんは不思議そうに福本さんを見た。僕は2人の様子に違和感を覚えながらレントゲン室に入る。女性看護師さんに撮影する準備をしてもらい、彼女が部屋から出ていって電気を消した時だった。
「もしかして、彼にロボットという事を伝えて無いのかい?」
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