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僕は、なんとか武志のお母さんを宥めすかし、帰路についていた。夜の帳が下りかかっている町並みに、はしゃいだ子供の声がこだました。
武志の家から僕の家のちょうど中間地点にある公園からだった。遊具がほどほどにあり、広めの走れるスペースもあって、近所の人達の憩いの場所になっていた。今は、夕闇の中に帰りがけの家族が何人かたむろしていた。
僕は、公園に立ち寄り、入り口のすぐ近くにあるベンチに腰を下ろした。
そして、子供たちがいなくなった滑り台を見つめた。
懐かしい場所だった。
学校からの帰り道、武志とまだ話したいことがあった時は、いつもこの公園に寄っていたのだ。
ある時――なにか悩み事でもあるのか、と聞いたのは、あの滑り台あたりだった。
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