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全身を愛撫するタカヤの手が止まる。
「どうかした?」
「ねぇ…もっと僕に集中してよ。」
「うん、ごめん…なんだかこうしてるのが夢みたいで。」
「そっか。じゃあ、夢じゃないってくらい実感させてあげる。僕の全部を受け止めてーーー」
再び私の弱い部分を探すべくタカヤが全身を丁寧に愛撫する。
思考が朧気になっていく。
もう考えるのはよそう。
明日のことなんて考えたくない。
漸くタカヤを手に入れたんだもん。
今はそれだけに浸っていたい。
「壊れるくらい、めちゃくちゃに抱いて…」
タカヤの両頬に手を添え言うと、一瞬驚いた顔をしたけれど、直ぐにいつもの甘い笑顔で答えてくれた。
「仰せのままにーーー」
乗ったのは泥舟なのか
それとも大きな帆を広げ進みだした船なのか…
わからない
ただハッキリとしているのは
私もアズミも嘘を付けなかった。
案外、私とアズミは似ているのかもしれない。
まさか。
そんな思いを振り払うようにタカヤの頭を抱き寄せると自ら深く口付けた。
終
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