29人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
それは皮肉な偶然。
高校の同窓会でお互い長年思っている人がいるけれど、それは叶わぬ恋なんだと。
そんな話で意気投合した私達は結婚という契約をすることにした。
いつだって周りからチヤホヤされてきた私も気付けばアラサー。
親はもちろん、親戚からも結婚はまだかまだかと年々急かされるばかり。
丁度いい。
そう思った。
決してタイプではないけれどまんざら悪くもない。
タカヤとは正反対の切れ長の目にシャープな顎のライン。
その端正な顔立ちとモデル並みの高身長は街を歩いていても目を引くものがあった。
丁度いい。
良いも悪いも悪目立ちする自分のこの顔がこの人の隣ならそれほど目立たなくなるんじゃないかって。
だから、思い切って話を持ちかけた。
報われない恋を抱えたもの同士協力しない?って。
早い段階で相手の思い人がアズミだと知った私はこの奇跡に感謝した。
それは相手も同じだった。
そして、その奇跡は終わらなかった。
タカヤと偶然の再会。
私が結婚して半年後だった。
初めは当たり障りない会話だった。
だけど、私が知っている頃のタカヤと明らかに違う雰囲気に気付けば食事に誘っていた。
「何か悩みがあるならゆっくり聞くよ。」
って。
最初のコメントを投稿しよう!