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無駄に影響を与えているらしい人物に内心苛立ちが募る。
せっかく悪に触れぬよう囲って世話を焼いてきたというのに。全く余計なことをしてくれる。
けれど事情を知らない人間にそう思うのは筋違いというもの。それは私でもわかる。
私たちの "事情" を知らぬ人間には。
「……これで二百と五十一回目」
「……」
「"いかなる理由があれど、異種族間の婚姻、またはそれに準ずる関係を有することは認められない"」
「……わかってる。だから俺は、」
「薬屋に通ったって無駄よ。人間の知る薬に種族を変える力を持つものがあるはずがないでしょう」
貴方は "人間" なのよ。
室内の灯りを受けて翠色に映るその瞳はいつ見ても美しい。きっと街ではさぞ女の子たちから熱い歓迎を受けているのだろう。
一緒に出たことなど無いからわからないけれど。
「私、馬鹿は嫌いよ」
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