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腕から足まで雑に杭を打ち込まれた状態で天井に張り付いている。
確認するまでもなさそうだが、死んでいる。
ただただ見つめるしかなかった。
酷く白い肌。
喉を切り裂かれ血が抜かれている。
冷たい表情、虚な瞳でこちらを見ている。
ただただ見つめるしか無かった。
数分経った時だった。
決まっていたかのように警察が押しかけ、
気がつけば牢獄にいた。
どうやら何者かに仕組まれたらしい。
冤罪だ。誰の仕業だ。何の為に?
哀しみ、憎しみ、怒りの感情が沸き起こるまで思考の整理がつかない。
数日が過ぎ私に面会したいと言う人物が現れた。
ニース・ドゥウィード。
彼は同じ病院にいた。
そして同じ部屋にいた。
関係性はそこまでない筈だが?
なぜ彼が?
「やぁ、ザック。ひどいツラだな。」
「何のようだ?」
「実はな私の家に手紙が届いたんだ」
ニースはポケットから一枚の手紙を出し
私に見せた。
「ここに来るように書かれていたんだ。」
「そして、ここに書いてある文だが、、、」
ニースが記した先に書かれていた文の内容はジェイクに関することだった。
息子は現在手紙の差出人が監禁しているようだ。
同封されていた写真を見せられた。
手術室のような
血と鉄の匂いが伝わる写真だった。
2枚目の写真には、
手術台に横たわるジェイクが写っていた。
ほぼ裸の姿、肌にはナイフで刻まれたような傷や削がれている部分、焼かれている部分、溶かされている部分、腐敗している部分、切り落とされている部分。
いろんな写真があった。
目を背けずジッと見た。
「、、、ザック」
「ニース、
どうやら君を巻き込んでしまったようだ。
君の命も狙われる可能性がある。」
「ザック、
君は覚えていないだろうが、
僕は君に救われた事がある。
感謝しているんだ。
今度は僕が君を救う番だ。」
言い終えた後、部屋から出て行った。
数日後、ニースの協力で釈放された。
刑務所を出ると高級な車が停まっていた。
「やあザック、迎えにきたよ」
車に乗りニースの話を聞いた。
どうやらジェイクの行方を
辿る為の部屋を用意してくれたらしい。
そしてジェイクを誘拐した人物は
ルージュを殺した犯人。
部屋にはこの街の地図や、
あらゆる情報がまとめられていた。
「君がこれを?」
「あぁ、
少しでも力になれたらと思ってね、、」
「、、、ありがとう。」
「今日は出所したばかりだ、
ゆっくり休んでくれ」
「あぁ、、、。」
だが休んでいられない、
ジェイクを助け出すまでは、、。
とは言ったものの、
精神的にも肉体的にも
疲弊し切っていたようで、
その場に座り込んで寝てしまった。
ー後日ー
目が覚めると綺麗なベットで寝ていた。
ニースが運んでくれたのか?
ただ疲れは取れていない。
とりあえず部屋を出て、
ニースに挨拶しに行った。
キッチンに向かうとニースの後ろ姿が見えた。
座りながら新聞を読んでいるようだ。
「ニース、おはよう」
返事がない、、。
「おい、寝てるのか?」
正面に立つと理由が分かった。
死んでいる。
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