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 結論から言ってしまうと、私と、この笑顔がおっかない風紀委員長ことクライスウェルト・アル・シルヴェスティアは幼馴染みである。  忘れもしない。あれは私が聖女だった頃。  確か五歳くらいだったかな。忘れもしないとか言いつつ結構記憶があいまいだけど。  そんくらいのときに、私が初めて聖女の力を使って倒した魔物。ドラゴンと鷲を足して割ったみたいな魔物の鉤爪の下から、半死半生の状態で見つかったのがクライスだった。  もちろん、私はその場で彼の怪我を治した。聖女として初めて怪我を治したのもその時だった。    意識を取り戻したクライスは自分のことを何一つ覚えていなくて、珍しい髪の色を手がかりに方々手を尽くしても親は見つからなかった。  クライスっていう名前も、何も思い出せない男の子に私が思いつきで仮につけたものだ。ちょうど習ったばかりの古語で「平和」を意味する単語だった。  結局クライスの出生がなんにもわからなかったせいで、私が仮でつけた名前はシルヴェスティア家に養子に入るときにかっこよくアレンジされて正式名になってしまった。  クライスが代々聖女の護衛を輩出している名門シルヴェスティア家に養子として迎えられたのは、ちょうどその頃シルヴェスティア家に私と同年代の子どもがいなかったのと、クライス自身が持つ魔力がとんでもなかったのと、二つの理由が重なったからだ。  クライスは私の護衛になるために養子に迎えられて、シルヴェスティア家に入った翌日にはもう私の護衛騎士候補として任務と訓練を開始していた。  それから七年前の、私が聖女の力を失うきっかけとなるあの日まで、クライスと私はほぼ四六時中と言っていいくらいずっと一緒にいた。
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