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Dash at midnight(真夜中の疾走)
ギアをロー入れて、クラッチを浅く踏みこんで、アクセルを軽く煽る。
ロングノーズの、ボンネットが震えていた。
直4DOHC4バルブターボ・1990㏄から、叩きだされるトルクで、テールがスイングしていた。
隣に信号待ちしている、マツダのコスモもアクセルをふかしていた。
信号が青になった。
一気にアクセル踏みこみ、クラッチをつなげて、ブーストの針とタコメータ連動した。
さすが、205ps/6400rpmのインタークーラーは伊達じゃなかった。
スカイラインRS-Xは、シートに体を押し付けられるようして、クラッチタイミングを逃した、コスモをバックミラーに映した。
さすがに、300マン以上する車体を即決で買えるはずもなく。
二十歳になるまでの、2年間で必死に150マン貯めてからデイラーの買い替えで下取りしたもを買ったのだ。
車庫証明を取るのに、二十歳にならないと取れなかったので、原付で我慢した。
会社の寮でひたすら、パンフレットとデイラー周りをして巡り合えた、愛車だった。
さすがに、5年落ちでも、足は出た。
早いだけに、ガソリンもがば飲みだ。
給料は、ガソリン代と無理して買ったフォイール台に消えてカツカツだったけれども、赤と黒のツートンの2ドアハードトップは、いつ見てもカッコよかった。
特にテールの丸目にはウっとりしていた。
秋生は、走り屋というわけではなく、車にのるとどこまでも行ける気がして、無性にうれしかった。
世界が大きくなった気がした。
ステアリングの真ん中のSを崩したマークを撫でながら、週末には車を走らせて遠出をした。
時には、シートを倒して車中泊もしたりした。
当然金もなかったし。
車が恋人みたいなものだった。
まっ、おしゃれな奴は、プレリュードとか、ソアラとかに乗っていた。
おしゃれというか、ナンパ目的だから内装のいい車だった。
サンルーフとか、デジタルメーターとか、本革シートとかETC。
秋生は、峠を攻めるとかないから、よく佐賀・大和インターまで行って鳥栖ジャンクションでUターンして帰ってくるみたいなことをしていた。
兎に角、部屋にいるよりも車に乗っていた方が落ち着いていた。
時代は、バブルの兆しを見せていた。
長崎で2番目に大きな市の佐世保で、秋生は青春を謳歌していた。
これから、出会う運命の人にで会うことがある、この街で生きていた。
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