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肌寒かった昨夜の気温に合わせて厚くかぶった布団を振り払うようにして、細身の男がベッドからむくりと体を起こした。
窓の外ではここしばらく我が物顔で居座っている黒雲が青空を覆い隠している。
男はじっとりと汗ばんだ首周りを気にして勢いよくシャツを脱ぎ捨て、風呂場へ向かった。
「ソウ、早くしないと学校遅刻するよ!」
「うん、今あがるー」
「ごはんは?」
「んー、いらない」
ソウは薄手のジャンパーをはおりながら答えた。
「傘持っていきな。午後から降るみたいだから」
「うん」
玄関の棚から折りたたみ傘を取ってリュックに入れると、ソウは足早に学校に向かっていった。
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