誘拐

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 なんだそれ。 「捕まったって誰に? とうとうお縄でございますかぁ?」 「違う。いや……あんまり違わねぇか。その……倉庫みたいな所にぶち込まれたみてぇだ」 「はぁ? 何言ってんの? 意味不明(いみふ)なんだけど。くだらない冗談は……」 「わからねぇが、後ろからぶん殴られて気ぃ失ったようでよ。気づいたら腕と足がガムテでグルグル巻きって訳だ」  口調からジリジリと焦りが伝わる。ガチかよ。警鐘が鳴る。玲奈(レイナ)は自分の顔からサーッと血の気が引いていくのがわかった。にわかには信じられないが、どうやら見え透いたウソなんかじゃない。 「け、けどさ、どうやって電話してんの?」 「マイたんに、頼んでな……」 「マイたんって()……あーっ。もしかして。音声アシスタントのこと?いい年してそんな呼び方してんの?」  その図体でマイたんって。  でも、だったら、確かにハンドフリーでいけるよね。    玲奈は、あの悪趣味なピアスとネックレスを思い浮かべ、眉をひそめる。 「犯人はどんな奴? ってか、見張りは? 複数? 単独犯? そもそも場所は? 外、見えるの? 何が見える? 倉庫って言ったって……」  焦って言葉がほとばしる。   
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