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そう、静流は俺の義妹だ。
確かに義理であれば、妹と結婚する事自体に問題はない。ないのだけれども。
「お前も分かるだろ? この先もずっとこの家にいるのが、静琉にとっては一番いい事なんだよ」
「それは分かるけど、別に結婚に拘らなくても。独身でいるって手もあるじゃないか」
ぴくりと親父の眉が跳ね上がった。
不味い、俺はどうやら地雷を踏んでしまったらしい。
「じゃあ何だ? お前は静琉に一生独身でいろと言うのか? 静流の花嫁姿を見ると言う、俺の夢を諦めろと言うのかあっ!」
冷めた俺の視線が熱くなった親父を刺す。ああ全く、どうしてこうも面倒なんだこの親父は。
結婚させたてあげたい、けれども手元に置いておきたい。だから俺に妹と結婚しろというのか。
「あのなぁ、そこまで言うなら自分が静琉と結婚でも何でもしてやれよ!」
イライラが募った挙句、投げやりに放ってしまった自分の台詞にハッとなった。
恐る恐る妹の方へ視線をやると、案の定、静琉は悲しそうな顔をして俯いてしまっていた。
「あ……いや。今のは言葉の綾ってやつで」
一方の親父はと言えば、これぞ正に苦虫を噛み潰したような顔ってやつをしている。
「馬鹿かお前は? 親が娘と結婚できる訳がないだろう」
…………ムカつく!
「いや、知ってるし! 冗談を真に受けてんじゃねえ、俺にとっても妹だぞ、あいつは!」
「なんだ、義理でも親子は無理だが兄妹は結婚できるんだぞ? 相手がお前なら俺も静琉と離れずに済むしなあ」
やはり本音が出た。
たったそれだけの理由で俺達を結婚させるだと?
全てはこのクソ親父の都合でしかない。
自己完結させたつもりか、親父はのんびりと茶を啜り出した。
分かってはいたつもりだが、こちらがここまで言っても悪びれもしないのか。
クラクラする頭を抱えながら、俺はそのままゴンとテーブルに突っ伏した。
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