0人が本棚に入れています
本棚に追加
/1ページ
うそつき。うそつき、うそつきうそつき。
みんなそういうの。だから私はうそつきになったの。
だって私はうそつきなのでしょう? そういう役割を与えられたのでしょう? だから私はそう振舞うの。そう振舞った方があの人たちにとって都合がいいから。
私は知ってるの。あの人たちが何を考えてるかなんてわかりきってるの。けれど私から出た言葉は反対になるから、だから細かいことを言うのが難しいの。だからあなたに何も言えないの。
うそつきがうそをつき続けることは正しいことを言い続けるのと同じ。だから言ったことは全て逆に取られる。その前提で私も言葉を発する。
お前はうそつきなんだよ。一番昔の記憶でも私はそう言われている。
私はうそをつくつもりで本当のことを言っている。本当のことを言うつもりで本当のことを言っている。私がうそをつくつもりで言った本当のことは、逆のことが本当のことになった。だから私の言うことは全部うそになる。
私の頭の中にはいろんなことが詰まっているのに私の口から出る言葉はうそしかない。全部うそなら全部本当。
たまに来てくれるあなたを私は気に入ったみたい。私はあなたにだけは何も話さないのにどうして来てくれるの?
私は、私はあなたが気に入っているからあなたに何も話せなくなる。だって私はうそつきだから。私がもし思っているそのままを出してしまえばあなたにとって良くないこと、私にとって良くないことが起きるから。もしちゃんといつも通りうそがつけてもそれだって、私がうそつきという証明だから。
知っているのだろう。そして私は知られたくない。だからもう来ないでほしい。こないで。
「私はうそつきだから、あなたに呪いをかけます。あなたは死にます」
最初のコメントを投稿しよう!