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「では、賛成多数で、本件は可決といたします」
上級議会の議長の声が響き、まばらな拍手が起こる。退屈なリモート会議、画面の向こうでうとうと居眠りしていた議員も少なくないから。
今回の討議内容は、『“宇宙移住”について』。
人口過多、自然破壊、エネルギーの枯渇で疲弊するこの星の、限界は近い。
だが、つい先日、同様の居住環境を持つ星が見つかった。ここから7光年もの彼方。昨年、天文学の権威により発見された『ワープ孔』を使えば、最新鋭のスペースシップで80年、船内の人間にとってはほんの7年ほどで、辿り着ける見込みだ。一方通行の旅にはなってしまうが、若者(というか、子ども)を中心に適任メンバーを選定すれば、不慮の病や事故に見舞われない限り、全員が安全かつ確実に新天地に降り立ち、可能性に溢れた新たなる地で新生活を築くことができる。
この計画の推進の可否を問いたい―。
***
そう、これが、先ほど上級民から成る上級議員で、さしたる論議も無く可決された“宇宙移住”案件の骨子だ。上級民にして当議会の若手議員の1人であるレオニ・サナンは、憂鬱な気分で通信を切り、疲れで痛む目をゆっくり静かに揉み解した。
『安全快適な、空の旅』
『希望に満ちた新天地』
『移住に向く優れた人材の選定と、手厚い補償』
AIにより早々にまとめられた議事録(書記という職業は、すでに前々世紀の遺物だ)に並ぶ麗々しい言葉を、苦々しい顔で眺める。
「嘘つき」
知らず、声が漏れた。
嘘つき。こんなの、みんな嘘っぱちだ。自分は知っている、宇宙移住という言葉に付けられたクォーテーションマーク(“”)が、何を意味するのか。連中の企みを。いや、知っているどころではない。自分もまた、無言を貫くことで加担しているのだ。
「嘘つき」
そうだ、俺もまた。
***
「この星には、人類が増え過ぎた。
少しばかり、間引きしようではありませんか―」
To Be Continued、、、??
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