vol.3

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「はーい、わたし、Dです。明日からトレーニング、よろしくなのです」  Dはそう言うと、盛り上がった上腕二頭筋を見せるべく、右腕を上げて見せた。  レスラーみたいな、速筋を自慢げに動かしてくれていた。ついでに、胸筋も奈津子の目の前でピクピクと動いている。  少々、近すぎて圧迫感が強い。 「あ、はは……お手柔らかに……」  若干の不安感を感じつつ、奈津子は愛想笑いを浮かべた。  大丈夫かな、わたし。     6  夜が更ける頃、地上は人工の明かりで満ち始めていた。  人々が一日の疲れを癒やすべく、くつろぎの時間を愉しむ丁度、その頃。  未だに電気が煌々と照らすオフィスで、苦虫を噛み締める人物がいた。  警視庁捜査一課長、西尾である。 「全く、どうなってるんだ、四課は」  思わず、腹立たしげな独り言が口からついて出た。 「例の、たれ込みですか」  西尾の傍で報告書を提出しようとしていた管理官の一人が、言った。
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