vol.3

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 あまり好ましくない状態になりつつあることだけは、なんとなく感覚としてわかっていた。  痛い。体中が、痛い。  見慣れたネオンの光が、やけに目障りだった。  その時、右手に握ったままのスマホが振動を伝えた。 『着信 応答しますか』  亀裂の入った画面に、緑のアイコンが浮かび上がった。  誰だ。  男は立ち止まると、手にしたスマホを見つめた。  表示された番号は、見知らぬものだった。  一回、二回、三回  コールは続いていた。  もしかして、警察だろうか。  男の背中を、冷たい汗が走った。  ごくり  唾を飲み込む音すらも、大きく聞こえた。  でも、もしも、誰か捕まってないやつがいたとしたら。俺みたいに仲間を探しているのかもしれない。  それは、一縷の望みだった。  男は震える指で、画面に触れた。 「……もし、もしもし……」  それは、女神からの着信だった。
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