vol.4

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「ん……、おはよ」  微かに腕をずらした隙間から、まつ毛の長い目が姿を見せた。 「朝ご飯、作ろっか。何がいい?」 「いい、そのまま仕事だもん。……それよりさぁ」  応えながら、触れていた女の腕に触れる。 「ん?」  きぬ擦れの音がして、ウェーブのかかった髪が、女の髪に触れる距離まで近づいた。  首の後ろに回る手は、やはり大きい。 「…………」  囁かれた言葉に、女は笑う。 「もう、やだぁ。朝っぱらからー、こうさかくん」  きぬ擦れの音が、笑い声を消していった。  ピピピピッ シュー  恒例の機械音に続いて、ドアが開かれた。 「おはようございまーっす」 「いつも早いね、井原ちゃん」 「お、おはよう。なっちゃんも早いねぇ」 「あーんもう、カール絶対失敗したもん、今日」  にぎやかな声と存在が四人分、一気にオフィスへ流れ込んできた。  先頭を切った茶髪をはじめとして、細身スーツ、毛糸の帽子にくり色ロングカールがぞろぞろと続いた。 「おはよう、ございます」  声に振り向いていた奈津子は、一瞬の間を置いてから挨拶を口にした。
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