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狭い土地を二世帯が住めるような家へ立て直すのだから、余剰スペースなどない。
加えて今後成長する姪にとって、数十年も引きこもっている無職の子供部屋おじさんなど害悪でしかない。
という両親及び妹夫婦からの無言の圧力を感じ取り、男は唯々諾々と両親からの提案に従ったのだった。
無人島プランでは、自宅から持ち出すものに厳しい制限がかけられている。
持って行けるのは、支給されたリュックサックに入る範囲のものだけだと告げられた。
男は、アイドルユニット『カラフルマカロン』のボーカルである舞咲来夢に関するものを選んだ。
舞咲来夢を推し続ける事。それが孤独な男のたったひとつの心の支えだったからだ。
雑誌インタビューの切り抜きやグラビア。
そしてSNSの譲渡アカウントで交換した生写真やCD購入特典のポスター、ライブDVDなどのお宝を、ひとつひとつ丁寧に梱包しリュックに詰めた。
それらと可愛がっていた『らいむ』という名のハムスターを連れ、男はぽちゃぽちゃ島へと旅立った。
見送りはうさぎライフネットの担当者一名だけという、寂しい門出だった。
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