7. 二人と一匹暮らし、始めました。

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 「和食はまだまだなので、これを機に頑張ろうと思ってるの」  「そっかあ。俺は今のままでも十分に満足しているけど、杏奈がそうしたいなら折角だし頑張ってみたらいいよ。佐倉さんは【ホームアシスト サクラ】の代表だから腕は確かだし。そんな人に教えてもらえるなんて滅多にないことだからなぁ」  修平さんが最後に言った呟きに目を見張った。  「え?代表って??」  「会社を立ち上げた人ってことだよ。平たく言うと社長」  「え~~~っ!!!」  私の驚きの声が部屋に響いた。  目を白黒させている私を見て「あははっ」と修平さんが笑う。  「佐倉さんとうちは、彼女が【ホームアシスト サクラ】を立ち上げる前からの付き合いなんだ。俺が生まれる前からで、もう三十年以上になるかなぁ……。佐倉さんが会社を立ち上げてから随分経って、彼女も社長業が忙しくなったみたいでね。今彼女が直接ハウスキーピングに来る家は、ほんの僅かなはずだ」  驚愕の事実に口が開いたままになる。  確かに佐倉さんの家事能力は凄かった。でも素人の私から見たら、プロとして家事をする人はみんなそれくらい凄いのか、と思ったくらいのことだった。  今頃になって、自分がものすごい人から家事を習ったのだとじわじわと理解する。  知らなかったこととはいえ、なんだか恐れ多い気持ちにすらなってきた。  色々と複雑な気持ちになりながらも、「本当に有り難いことなんだ」と目の前の料理を眺める。  しっかりと味わうように噛みしめながら、夕飯を食べた。
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