8. 笑顔でいてほしくて、

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 「ハンバーグ、今焼き始めたところなの。もう少し待っててくれる?」  「ああ。ゆっくりで大丈夫だよ」  キッチンとテーブルを行ったり来たりしながら料理を並べている私にそう言った修平さんは、アンジュの夕飯を準備している。松葉杖が一本になったことで、彼は随分身軽になったみたいだ。  フライパンのハンバーグをひっくり返した時に、来客を知らせる玄関チャイムの音がリビングに響いた。  「誰だろう?こんな時間に……」     ドライフードをつぎながら呟く修平さんを見つめているアンジュが、自分の夕飯を待ちわびて尻尾を振っている。  佐倉さんがやっぱり来てくれたのかも!  そう思った私は急いでフライパンの火を弱めて蓋をした。そしてインターホンも確認せずに「私出てきます」と言って玄関に向かった。    「は~い」  扉越しに返事をして、相手の応答を待たずに扉を開けた。  開いた扉の先には、私の思っていた人とは違う人が立っていた。
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