8. 笑顔でいてほしくて、

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 [2]  ギクシャクとした動きのままケーキを取り分けて、一緒に食べた。  前もって千紗子さんに聞いておいた人気の洋菓子店のケーキなのに、味が良く分からないまま何とかケーキを食べ終えてコーヒーを飲み干す。  いつも以上に丁寧に落としたコーヒーは、冷め切っていて苦かった。  ケーキを食べ終えた後片付けを終わらせると、誕生日会はお開きに。  「おやすみなさい」の挨拶を済ませ各々の部屋に戻ってから、いつものようにゲスト用のシャワールームを使ってから、ベッドに入った。  「はぁぁぁ~……」  ベットに仰向けに寝転んで、深い息を吐きだす。  「修平さんは、なんで私にあんなことをするんだろう……」  まるで私の呟きに返事をするように、窓ガラスがカタカタと音を立てる。  いつのまにか外では強い風が吹き出したみたいだ。  「私のこと、からかって遊んでるのかなぁ……」  私のことをからかう時のちょっと意地悪そうな笑顔を思い出す。  だけど、その笑顔とさっきの表情は全然違っていた。  どちらかというと、少し苦しそうな顔。  その中にある吸い込まれそうな瞳の奥の光を思い出すと、胸がドキドキと忙しなく音を立てて、顔が赤くなってくる。  私はギュッと目を瞑った。  私、いったいどうしちゃったんだろう……。  自分の中にも春の嵐が吹き荒れているみたい。  両手で顔を覆って唇を噛んだ時、どこからか「トントン」と小さな音が聞こえた。
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