2. 今日の運勢は最下位です。

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  やっと一息ついて時計を確認すると、自分の業務終了時間まであと三十分を切っていた。    イベントの準備や利用者さんへの対応で残業になることも多々あるけれど、そうではないときは無駄に残業をしない、というのが今の館長のスタンス。  なので私は給料泥棒になる前に自分の仕事を終わらせようと、残りの作業を終わらすべくスピードをあげた。    ついさっきまで、会議室で来週の催しの打ち合わせをしていた。催しで使う蔵書の選定が終わって、メンバーの先輩たちはそれぞれ自分の持ち場へ。  打ち合せで使った本を片付けることを自ら申し出た私は、最後まで会議室に残ることになった。  私は、こういう雑務を請け負うことが多い。  そのことに特に不満を抱いたことははなくて、むしろ積極的に引き受けると決めている。  この図書館の中で一番新人で出来る仕事の少ない自分が、誰にでも出来るような雑務を片付けることで全体の業務が円滑に進むと思うからだ。  二階の会議室から一階の保管場所に蔵書を戻す。  それが本日最後の仕事だった。  「急いで片付けなきゃ」  自分しかいない会議でつぶやくと、一気に全部の本を抱えて肘と足を使ってなんとかドアを開けた。  会議室の目の前には一階に下りる階段がある。右手側の奥にはエレベーターもあって、普段は蔵書をワゴンに乗せてエレベーターで上り下りするのだけれど、利用者さんも使うものなので、基本的に利用者さんでいっぱいの時は見送って次まで待ったりする。  急いでいた私はそのまま目の前の階段へと足を踏み出した。    
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