9. 好きにならないわけないだろう?――Side修平

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 杏奈の体を抱き止めた瞬間、頭の中が真っ白になった。  慌てて俺から離れようとする彼女に、無意識に腕に力がこもる。  少しの隙間もなく抱きしめた彼女からは、俺を誘っているようないい匂いがする。柔らかな体はこれ以上腕に力を入れてしまえば、簡単につぶれてしまいそうだ。  これ以上はもたない……  理性の限界を感じて、そっと杏奈を離した。  案の定、彼女の顔も体も真っ赤に染まっている。  これ以上その赤さを見ていたらダメだな、と思って、彼女の代わりに水を取りにキッチンへ向かった。  彼女の顔からすぐに背を背けた俺は、その時杏奈がどんな顔をしているのか見そびれてしまった。
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