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「それで?」
食べ終わったお弁当箱を片付けてお茶を飲んでいると、突然千紗子さんがそう言った。
「はい?」
「瀧沢さんとはいつから付き合い始めたの?」
「っ!!ごほごほっ!」
今まさに飲み込もうとしていたお茶にむせる。喉に引っ掛かったお茶にしばらくの間苦しんだ。
「大丈夫?杏ちゃん」
「……っ、な、なんとか…」
「良かったわ。それで、どうなの?」
「……付き合っては、いません」
「付き合って、は?」
「ええっっと、その、実は……」
それから昼休み時間いっぱい、千紗子さんの事情聴取を受けることとなった。
『聞かれなければ黙っていよう』と思っていたわけではない。私だって、ここ数日千紗子さんと話をする機会を窺っていたのだ。
全くもって男性のことが分からない私にとって、修平さんのことを相談出来る身近な相手は千紗子さんくらいだ。でも、千紗子さんとはこの数日間、公休日やシフトが被らず、すれ違い状態になっていた。
顔を合わす時が仕事中かつ館内の人々の前、というシチュエーションばかりで、『相談』なんて不可能だったのだ。
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