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「えっ!?どういうこと?」
「私の母は、私が物心つく前に離婚してるんです。だから私は血の繋がった父のことを覚えていません」
「そうだったの……」
「まだ若かった母は、一生懸命働いて私を育ててくれました。でも私は全然それが分からなくて、いつも『寂しい』って母を泣いて困らせていたみたいです」
「幼い子どもには仕方ないことだったと思うわよ。お母様も杏ちゃんが居たから頑張れたんじゃないかな?」
「はい。母には感謝の気持ちしかありません。だからその人と結婚して幸せそうに笑う母を見ていると、私も嬉しくなりました。大好きなその人が家族になった、という喜びでいっぱいで、『失恋』の悲しみなんて全然無かったんです」
「そうだったのね。初恋の人がお父さんになったっていうのは……」
「私の初恋は、自然と『家族愛』になってしまって、あの時感じた『ドキドキ』や『嬉しさ』だって、もしかしたら最初から父になった彼のことを『身内』みたいに感じていたからなのかな、って思ってしまって……」
「だから瀧沢さんへの気持ちも『身内』に対するものと区別がつかないってことなの…?」
「……そうかもしれません。とにかく私には『恋心』を判別することが出来ないんです」
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