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「私みたいな子じゃ、修平さんには合わないって思って……」
俯いたまま彼と目を合わせずに言う。
「私は地味だし綺麗じゃないし、スタイルだって良くないし……」
言いながら脳裏を『葵さん』の姿がよぎる。
「それにおっちょこちょいで仕事も全然出来なくて……葵さんみたいな女性なら、」
「ちょっと待って」
私の言葉を遮った修平さんの声が硬い。少し怒っているようなその声に、私は俯いたまま、目線だけを上げた。
「なんでそこで葵の名前が出るの?」
「……」
「確かに葵は仕事が良く出来るし、見た目も悪くない」
彼の口からはっきりとそう断言されて、分かってはいたけど少しへこむ。
「でも、俺が好きなのは杏奈だよ。葵じゃない。彼女はただの同僚だ」
さらにキッパリと言い切った彼の言葉に、思わず顔を上げた。真剣な瞳とぶつかる。
「いくら自分の事だからって、俺の好きな子のことを悪く言って欲しくない」
ドキンと大きく心臓が跳ねて、鼓動が急に速くなる。
「杏奈はいつも十分すぎるくらい可愛いし、確かに少しおっちょこちょいなところもあるけど、それだから見ていて飽きないし、ちょこまか動く姿は可愛すぎるくらいだ。仕事のことは俺は良く分からないけど、まだ二年目だからこれから色々覚えていけばいいよ。何より杏奈はいつも楽しそうに仕事をしているから、利用者としては質問しやすくていいと思う」
一気にそう捲し立てられて、私は目を丸くする。
そんな私を見て、「は~~~っ」と大きく溜め息をついた修平さんは、少しの間まぶたを閉じて黙っていた。
そしておもむろに目を開けると、私を見つめて口を開いた。
「俺のことはゆっくり考えてくれたらいいかと思っていたけど、計画変更する」
それからあまり見たことのない意地悪そうな微笑みを浮かべて、
「覚悟してね、杏奈」
と言った。
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