11. 「すきです」

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11. 「すきです」

[1]  その翌日。朝ご飯中に、向かいに座っている修平さんがおもむろに私に尋ねた。  「杏奈は今日の夕方って何か予定が入ってる?」  「今日の夕方?特になにもないよ。修平さんの整形外科の診察に付き添おうとは思ってるけど」  「もう足は全然大丈夫だから、付き添いは無くて平気だよ。杏奈の予定が他にないなら、今日は外で夕飯を食べない?」  「外で?」  「うん。俺の『快気祝い』と杏奈の『介護お疲れさま会』を兼ねてどうかな?」  「いいの?」  「もちろんだよ。じゃあ、決まりだね」  目の前の彼の顔が笑顔になる。それを見ていた私もつられるように笑顔になった。  「今日はフレックスで職場を出て整形外科に行くから、五時に駅で待ち合わせはどうだろう?」  「うん、わかったよ。じゃあ、そのつもりでアンジュのお散歩とかを済ませておくね」  「ヨロシクね、杏奈」  約束を交わしたあと、朝食を済ませた彼が仕事に行くのを見送った。
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