11. 「すきです」

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 「ブックカバーだ!しかもハードカバーサイズの!」  彼は手にしている黒い革製のブックカバーを見ながら感嘆の声を上げた。  「うん。文庫本のはよく見るんだけど、ハードカバー用って中々ないでしょ?」  「確かに。俺も前から欲しいな、と思ってたんだ。しかも俺の仕事用の手帳と同じブランドだ」  そう。前にたまたま家で一緒にいる時に、仕事の電話がかかってきて、彼がビジネスバッグから出した手帳のブランド名が見えたのだった。  ネットで調べると、駅の商業施設にそのメーカーの商品を取り扱っているお店があった為、電話で取り寄せをお願いして、今日の待ち合わせの前に受け取って来たのだ。  「大事に使わせてもらうよ。ありがとう杏奈!」  本当に嬉しそうに満面の笑みを浮かべる修平さんに、私の方が嬉しくなってしまう。彼の笑顔が私を幸せな気持ちにしてくれることを、改めて知る。  「本当にありがとう」    隣に座る私の肩を抱き寄せて修平さんが、耳元でお礼を言う。耳をくすぐる吐息に肩を竦めると、頬に「ちゅっ」とリップ音が鳴った。  
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