11. 「すきです」

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 「は~~っ、そろそろ出ないとやばいなぁ……」  私の頭の上に顎を置いた彼が、ものすごく残念そうに言う。  「この部屋って時間制なの?」  「くくくっ、ラブホテルじゃないんだから、朝まで大丈夫だよ」  彼が笑いながら言った言葉に、顔が真っ赤になった。  ただでさえ長いキスの余韻で体中が熱いのに、これ以上赤くなったらもう元には戻らないかもしれない。  「この部屋がやばいんじゃなくて、杏奈がやばいの」  「わたし?なにか変になってる!?」    自分の頬を両手で覆った。慣れないことをあれこれとされて、変な反応とかやっちゃだめなことをしてしまったのかと青くなる。  赤くなったり青くなったり、リトマス試験紙みたいな私の顔を修平さんは覗き込んで、頬に当てた私の両手の上から彼の大きな手を重ねた。そしてそのまま私の顔を上に向かせて、「ちゅうっ」と長めに吸いながら音を立ててキスをする。  「杏奈が可愛すぎてやばいんだよ…俺の理性がもちそうにない。杏奈のこと怖がらせずにいたいから、ゆっくりと時間をかけて慣らしていこうと思うけど、好きすぎて持たないかも…今すぐにでも食べたくなる…そんなわけだから、そろそろここを出ようか」  「…………」    顔中が真っ赤になってしまう。  半分以上理解不能だったけど、なんかすごいことを言われたような気がする。  とにかくこれ以上は私の身が危険だということだけは理解できた為、無言で頭をコクコクと素早く縦に振った。  部屋を出ようと身支度を整えた時、修平さんの携帯が大きな音を立てて鳴った。
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