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仕事を終えて帰宅すると、なんとなく家を出た時と違う感じが。
キッチンからダイニングリビングとひと続きになった広い部屋を、ぐるりと見渡してみる。するとダイニングテーブルの上に、朝出る時には無かった紙が置いてあることに気付いた。
テーブルの紙の前に立つと、ここ数日で随分と見慣れた文字が書かれてある。
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杏奈へ
おかえり。仕事お疲れさま。
今夜は完全に泊まり込みになるので、準備をしに一旦帰って来たんだ。
今夜はしっかりと戸締りして寝るようにね。
俺はそろそろ限界だよ。杏奈が足りない。
君はそんなことはないかもしれないけど。
もう少しで片付くから、その時は杏奈を補充させてね。
修平
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「修平さん………」
彼の名前を呟いた。
目の前の文字が、どんどんぼやけていく。
「私も修平さんが足りないよ……」
胸がキュウっと締め付けられて、瞼に熱が集まってくる。
「一人でのお留守番で泣きべそかくなんて、小さい頃以来かも……」
グズグズと鳴る鼻をすすって、ちょっと笑った。
そんな私のところにアンジュがやってきて、私のお腹に鼻を擦り付けてくる。
「ごめん、アンジュ。一人じゃなかったね。一緒にお留守番頑張ろうね」
こぼれかけた涙を引っ込めるために、大きく息をついてから、アンジュを撫でた。
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