12. 全然足りない。

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   「数日間離れてただけなのに、あの日のことが夢じゃないかって思えて心配だった。いや、杏奈がこの家にいることすら夢だったのかもしれない、とさえ思えてきて、ちょっとでも時間が出来たらここに帰って来て杏奈がいることを確かめたかったんだ…」  「修平さん…」  「そんなふうに思うのはきっと俺だけなんだろうな…」  「そんなことない!!」  「杏奈?」  修平さんは、急に大きな声を出した私にびっくりした表情を浮かべている。  「わたしだって……私だって、修平さんが帰ってくるのをずっと待ってたんだから!」  「杏奈……」  「毎朝、修平さんが帰って来てないって分かったらがっかりした…早くトラブルが解決してくれたらいいのに、って何度も思ったよっ。修平さんは私が寝てる時に私のことを見てたかもしれないけど、私は全然修平さんの顔も見れなかったもんっ!お仕事で大変なのは分かってたけど、それでも………」  勢いよく話し出したものの、段々と自分の声が震えてくるのが分かる。目も潤みだして、もうこれ以上は言葉を続けられないと思ったとき。  彼の唇が私の唇に重なった。 
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