12. 全然足りない。

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 体が大きく跳ね上がった。ギュウっと固く閉じた目からは涙が滲む。  「あっ、やっ、だめ……」  遠慮がちに私の胸を撫でていた手が、ピタリと止まった。  恐る恐る目を開くと、そこには困ったような顔をした修平さんがいた。  「杏奈は、俺に触れられるのはイヤ?」  寂しそうに問う彼に、私は戸惑った。  「ごめん、俺……久々に会えた杏奈が可愛すぎて、我慢できなかった……」  しょんぼりと項垂れてしまった彼の姿に、胸がキューンとなる。  私が少しでも怖がったり泣きそうになったりすると、彼はそれ以上無理に進めたりしない。ホテルの時もそうだったから、今は何となく理解できる。    困ったように眉を下げている彼の瞳の奥に、未だ消しきれない熱を感じた。  自分の欲を押さえつけてまで、私のことを想ってくれる彼のことが愛おしい。    さっきまでの行為で、息は切れているし鼓動もものすごい速さで鳴っている。  でも、それを上回るくらいに、さっきから胸のときめきが止まらない。  わたしも、彼のことを求めてるんだ……。  自分の中にある欲求に気付いた時、私の中で何かが変わった。
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