12. 全然足りない。

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 彼の唇が、私の首筋をなぞるように触れていく。  耳の真下を吸われた時、これまで感じたことのない強い痺れが私の体にはしり、体が仰け反った。  「やあっ、」  「杏奈、ここ、弱いね。」  彼の口の端が少し持ち上がるのが、月明かりで分かった。  そう言った彼は、さっきと同じところに執拗に吸い付く。  「んんんっ、やめっ、…」  身を捩って逃れようとする私の体を、彼の腕が押さえつける。  そこばかりを吸うだけでなく、舐めたり甘噛みされて、私はとうとう、体に力が入らなくなってしまった。  彼の唇がやっとそこから離れた時、私は目じりに涙を浮かべて、肩で息をつく。  「杏奈、すごく可愛い……」  私の目じりに溜まった涙を拭いながら、修平さんが満足そうに微笑む。  私はこの時初めて、自分が下着しか身にまとってないことに気が付いた。  やだ!いつのまにっ!!  気付いた途端、つま先から頭のてっぺんまでが一気にカーッと熱くなった。  慌てて体を隠そうと、手を前に持っていこうとするけれど、それを彼の腕が素早く捕えて、シーツに押し付ける。
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