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13. ハプニングは忘れたころにやってくる!?
[1]
髪をサワサワと何かが触る。そのせいで動く毛先が頬に触れてくすぐったい。
瞼の向こうに感じる明るさ加減で、いつもの起床時間よりも遅いことは何となく分かっていた。
アンジュが散歩の催促に来たんだな。そう思って、目を閉じたまま手を伸ばした。その指先をペロリと舐められる。
「アンジュ……今日はお休みだからもうちょっと、」
『待ってて』と言おうとした口の形のまま、動きが止まる。
舐められている指先の根元――手首が掴まれているのを理解した瞬間、私はバチっと目を見開いた。
「おはよ、杏奈。今日はお休みなんだね」
そう言ったのは修平さん。私の指先を咥えたまま視線だけこっちに寄越し、ニッコリと笑っていた。
「~~~~っ!!」
ビックリして彼から体を離そうとするけれど、体が動かない。なぜなら彼の腕がしっかりと私の腰に巻き付いているからだ。
素肌と素肌が触れ合う感触で、私はやっとはっきりと昨夜のことを思い出した。みるみる体中が赤くなっていく。
「杏奈、照れてる?可愛い……」
そう言って、修平さんは私の唇に「ちゅっちゅっ」と何度もキスする。
たった数時間前の初めての行為がまた思い出されて、恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。
でもそのキスを受けながら、私は一つのことを思い出した。
いつまでもキスを止めない彼の体を、空いた方の手でギュッと押し返す。
キスが止まったその隙をついて、私はお腹から声を上げた。
「あ、あのっ!」
「杏奈どうした?」
「おっ、お風呂に入りたいのっ!」
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