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「えっと、そのことなんだけど……本当は食事が済んだら言おうと思っていたんだけど……」
父が良い顔をしないのは分かっているから、少しでも怒らせないように伝えたくて、口ごもる。
どうやって言ったら分かってもらえるのかな……。
視線を落として思案していると、私の隣の修平さんが突然立ち上がった。
突然の行動に驚いて隣を見上げると、立ち上がった彼は腰を折り曲げて父と母に頭を下げたのだ。
「お願いがあります。杏奈さんと一緒に暮らすお許しを下さい」
「どういうことだ、杏奈」
父は修平さんの方を見ようとはせずに、私を見てそう尋ねた。父は今まで見たことのない厳しい顔をしている。
「ヒロ君……実は、火事の後、修平さんのおうちにお世話になっているの……」
「なんだって!?」
驚いた声を上げた父の顔に、明らかな怒りの色が浮かんでいる。
「杏奈、嘘をついていたのか!?」
「う、嘘をついてしまったことは悪いと思ってます……ごめんなさい。でもっ、修平さんのお家にお世話になったのにはちゃんと理由があって、」
「言い訳はいい。杏奈、すぐにうちに帰ってきなさい」
「ヒロ君…、ちゃんと私の話を聞いて」
何とか父に話しを聞いてもらおうと、声を掛けるけれど、父は私の方を見ようともしない。
父の頑なな態度に、どうしたら良いのか分からなくなる。
「俺が怪我をしたせいです」
修平さんが私を庇うようにそういったけれど、父はその彼を一瞥して、「お前には聞いてない」と切り捨てるように言った。
膝の上で握った手が小刻みに震えだし、唇を噛みしめた。
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