13. ハプニングは忘れたころにやってくる!?

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 「あなたったら、昔から母親の私よりもヒロの方に甘えてたじゃない?」  「それは、お母さんはいつも忙しかったし……」  「そうね、私のせいよね……」  母は少し寂しげに微笑んで、私の肩をそっと引き寄せた。  「私のせいであなたには寂しい思いをさせて、申し訳なかったと思ってるわ」  「お母さん……」  「私がそうしたくてもしてあげられなかった分の何倍も、ヒロはあなたのことを可愛がってくれた。それはあなたのことを本当に愛しているからよ。それは分かってあげてね」  「うん…分かってるよ……」  「そう……でもほんと、仕方のない人ね、あなたのパパは」  ゆっくりと吐きだす息と共に、母が半分笑いながらそう言った。  「溺愛する娘に彼氏が出来たことがショックで、あんな態度をとってしまうなんて。もう、いくつになっても大人になりきれない、というか…ふふふっ」  「えっ!」  「ヒロのこと許してあげて?娘の初恋をもらったんだからあとは我慢しないと、ってお母さんがしっかり言い聞かせておくから」  「お、お母さん…知って!?」  母の言葉に弾かれたように顔をあげる。母に初恋のことは話したことはなかった。子ども心にも何となく言いづらかったせいもあるし、それを知った母が気にするのも嫌だったから。  すると母は、鼻を「ふんっ」と鳴らして、人差し指と親指で私の鼻を弾いた。  「これでも杏奈の母親、ですからね」  そう言って、ニヤリとからかうような笑みを浮かべる。  「さあ、今頃ヤキモキした男どもがあなたの帰りを待ってるわよ。おモテになって羨ましいですこと」  「もう…お母さんっ!」  背中に回された母の手に励まされて、私はベンチから腰を上げた。
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