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「おっ、おはようっ!」
至近距離で見つめられると、朝から心臓が元気に跳ねだした。こうやって、朝一緒のベッドで目が覚めることに、二回目くらいで慣れるはずがなく、顔に熱がどんどん集まってくるのを感じる。
「よく眠れた?」
「うん。なんだかすごくよく寝た気がするの……。もしかして、修平さんが運んでくれたの?」
「覚えてない?」
「う、うん……」
「車で帰る途中に眠って、よく寝てたけど家に着いて声をかけたら一応反応はあったんだけど…。色々あって疲れてたんじゃない?半分寝ぼけてたから」
「そうなの?」
「助手席のドアを開けて支えようとしたら、寝ぼけてむにゃむにゃ言いながら抱きついてきて、すごい可愛かった」
「ええっ!!」
あんぐりと口を開けて固まった私の頬に、またしても彼が「ちゅっ」と唇を寄せる。
「杏奈、可愛い」
「そんなことない……ゆうべもお風呂に入れなかったしお化粧も落としてない顔なんて見られたくないよ……」
年頃の女子としてどうかと思うほどの自分の残念ぶりを見られたくなくて、両手で顔を覆う。
「あ、お化粧なら、軽く落としておいたよ」
「え!?どういうこと!?」
「姉が置いたままにしてるシートタイプの化粧落としがあるから、それで拭いといたけど。…もしかして、まずかった?杏奈は肌荒れとかするほう?」
「し……しないけど……」
手のひらの下にある顔が、どんどん熱くなっていく。
よもや、付き合って数日なのに爆睡して運んでもらって、化粧まで落としてもらうなんて……。
終わってる!!私、絶対終わってる子だよっ!!!
恥ずかしさと情けなさで悶絶する。完全に顔も体も彼に背を向けて、羞恥の嵐にひたすら耐えた。
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