14. あなたに伝えたいこと。

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 「杏奈?どうしたの?」    後ろから修平さんが声を掛けてくれるけれど、返事をすることも出来ない。  「杏奈、俺の方を見て」  「………今は無理」  小さな声をなんとか絞り出すと、お腹周りに絡めてある腕が急に私の体を転がした。  それと同時に彼の体が私の上にのしかかる。  「しゅっ、修へ、」  両手を掴まれてグッと力が籠められるのを感じた次の瞬間には、彼の唇が私の唇を塞いでいた。  「ん~っんっ!」  朝一番とは思えないほどの濃厚なキスに見舞われる。それは準備運動も助走も一切なく、突然全力疾走を強いられたようなものだった。  強引、というわけではないけれど、何度か交わしただけなのに、彼は私の反応する場所をしっかりと把握していて、いきなりゾクゾクという痺れが駆け抜ける。そのゾクゾクの正体を今の私はすでに知っていて、それまでみたいにパニックになったりはしなくなった。でも、与えられた刺激の先を想像してしまい、体が勝手に反応してしまう。  「んんっ!!」  私の口内を味わうように貪っていた彼の、大きな手が私の服の中に入ってきて、体が大きく跳ね上がった。  「ん!ん!んんっ!」  抗議の意を表したくて、自由になった手で、彼の胸をドンドンと叩いた。  だけど彼の手はまだ、サワサワと私の素肌の上を行き来している。  彼の唇が少し離れたすきに、私は叫んだ。  「お仕事っ!修平さんはお仕事でしょ!!」  下から睨むように修平さんを見つめると、彼は拗ねた目をして「やだ、仕事行きたくない」と子どもみたいなことを言った。
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