14. あなたに伝えたいこと。

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 まだ顔の赤みの引かない彼の頭に手を当てて、ナデナデ、と子どもをあやすように動かす。  嫌がられるかと思いきや、彼は目をすがめて気持ちよさそうになすがままになっていた。  「ちゃんとお仕事に行くなら、ご褒美にいいものあげます」  「いいもの?」    「はい」  「杏奈からのキスとか?」  「ええっ!?違うよっ!!」    「くくくっ、それは残念」  すっかり形勢逆転され、私がからかわれるいつもの体制になる。  「あんまりからかうとあげないんだからっ。後で泣いても知らないよっ!」  「ごめんごめん。ゆるして、杏奈」  きゅるん、と子犬の瞳で見られると、ついなんでも許したくなってしまう。  「今回は特別よっ!」  そう言って、おもむろに布団を降りて辺りを見回すけれど、目当てのものがない。  「修平さん、私のカバン、どこか知ってる?」  「ああ。リビングにあるよ」  「じゃあ、早く行こうっ!!」  彼の手を掴んでギュッと引っ張った。そして、二人で朝陽のさすリビングへと向かった。
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