14. あなたに伝えたいこと。

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 「なにが?」  「……色々。母のこと、黙っていたこととか、一人で勝手に怒っていたこととか……」  彼の胸に顔を(うず)めて、モゴモゴと謝る。  「これくらいのヤキモチは大歓迎。由香梨さんのことは、……正直言って、驚きすぎた」  「……だよね、…ごめんなさい」  「色々、聞きたいことはあるけど、……杏奈」  修平さんは、一旦言葉を区切って私の名前を呼んだ。彼の胸に顔を(うず)めたままの私は、小さく肩を跳ねさせた。  お母さんが『橘ゆかり』だってこと、今までずっと黙っていたのは私だもん。修平さんにちゃんとそのことを話さないと………。  「杏奈、顔を上げて」  「………」  恐る恐る顔を上げると、いきなり唇を重ねられた。  しっとりと重なる口づけが甘い。  優しくくすぐるような唇からは、私のことを大事にしてくれているのが伝わってくる。  彼から唇を吸われたり舌先でくすぐったりされるうちに、知らず知らずのうちに体の力が抜けてきて、脱力した体を彼の腕に預ける。  甘い甘い蕩けるような口づけから私を解放した彼に、体を優しく抱きしめられた。  「杏奈、好きだよ」    耳元で囁かれると、足元から崩れ落ちそうになる。  彼はいったいどれだけ私のことを溶かしきればいいんだろう。  頭がぼうっとして何も考えられない。
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