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大きなガラス張りの窓から朝の光がたっぷりと差し込んでいて、私は眩しさに一瞬目を眇めたあと、窓辺に立っている修平さんの所へ近寄った。
「おはよ、杏奈。よく眠れた?」
「眠れたと思うけど……体中がミシミシするよ……」
俯いて頬を膨らませる私に、彼は「ああ」と何かを思い出したように言う。
「ゆうべは手加減できなくて、ごめんね?杏奈は今日も仕事なのに、気づかってやれなかったな……」
申し訳なさそうに言うけれど、口元が笑っているのが分かる。
『我慢しないで』って言ったのは私だけど、……でも、あんまりだよっ!
心の中で文句を言いながら修平さんを睨みつけると、彼は困ったように眉を下げたまま口を開いた。
「これでも足りないくらいなんだ…本当はまだまだ杏奈のことが欲しいけど、今はこれくらいにしておくよ。杏奈は仕事に行けなくなったら、ものすごく怒りそうだから」
小首を傾げた彼の発言に、目が飛び出そうなくらい見開いた。
『これでも』我慢してるの!?
それじゃあ、修平さんに全力で来られたら……体が持たないっ!!!
タジタジと後ずさりたくなる私の気持ちを、すかさず察知した彼に腰を抱かれる。
額から汗が出そうなほど焦っている私の顔に自分の顔を寄せた彼は、鼻先十数センチのところで「くすっ」と笑って、嬉しそうに言った。
「大丈夫。いきなり全力で襲ったりはしないよ。でもそれなりに攻めていくから、覚悟しててね、杏奈」
少年みたいな全開の笑顔に、心臓が大きく跳ね上がった。
どうしたって、彼のことを好きなのは変わらないみたいだ。
私は頭を大きく縦に振った。
顔だけでなく、手も足も真っ赤になっている。
恥ずかしさのあまり彼の胸に顔を埋めていたけれど、思い切って顔を上げ、彼の瞳をしっかりと見つめおずおずと口を開いた。
「お、……お手柔らかに、お願いします」
その言葉を聞いた彼の瞳が、丸く見開かれる。そしてすぐにその目が弧を描くように細められた。まるで眩しいものを見るように。
彼の唇が私の唇に重なる。唇を柔らかく重ねるだけの口づけの後、私から離れた彼が幸せそうに笑った。つられて、私も微笑む。
「大好きだよ、杏奈」
「私も好きです、修平さん」
再び唇が重なって、朝陽の中しばらくの間、私たちが離れることはなかった。
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