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「…クゥ～～ン」
耳元にか細い鳴き声が聞こえた次の瞬間、生暖かい感触を指先に感じて飛び起きた。
「え、あ、ここって……」
薄暗い部屋のベットに寝ていた。自分が一体どこにいるのか分からなくて部屋をぐるっと見渡す。
寝起きではっきりとしない意識の中、湿った何かが私の指先に触れた。
「きゃっ！」
ビックリして振り向くと、大きな黒い物体。
「あっ…アンジュ…！」
叫び声を彼女の名前に変えて呟くと同時に、自分が今どこにいるのか思い出した。
――そうだった。
ここは瀧沢さんのご自宅の客室。私は何時間前に初めて来た瀧沢さんの家に泊めてもらったんだった。
チラリと隣を見ると、私の寝ているベットの下からアンジュが半身を乗り出して私の指先に彼女の湿った鼻を押し当てていた。
「どうやって入ったの？」
そのアンジュに問いながらドアの方を見ると、この部屋のドアが開いていた。下に押したら開くドアノブなので、前足で開けて入って来たようだ。
「どうしたの？お腹すいた？」
そう聞きながら枕元のスマホの時間を見ると、時刻は午前四時過ぎだった。
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