4. 恩返しさせてください!

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 答えに詰まった私は、急いで冷めかけのコーヒーを飲み干し立ち上がった。  食べた食器を下げようと、瀧沢さんの食器に手を伸ばす。  その手を大きな手がスッと掴んだ。  「出来ることがあれば、やってくれるんだったよね」  私をジッと見上げてくるその瞳の奥に、今まで見たことのない熱のようなものを感じて、思わず手を引っ込めようとすると、彼の手にグッと力が入った。まるで「逃さないよ」と言うように。  カーッと体が熱くなる。    「や、あの……手を、はなして…」  「お願い、聞いてくれるかな?」  私の瞳は、彼の綺麗な瞳に捕えられたまま。逸らすことすら叶わない。  視線を一ミリも動かすことすら出来ない私に、彼はゆっくりと、甘く、微笑んだ。  一瞬頭がクラリとした。  握られた手はじっとりと汗ばみ、心臓はバクバクと荒れ狂って、もう何がなんだか考えられない。  「わ、分かりました!!」  気付いたらそう叫んでいた。  「良かった」  彼は心底ほっとしたというように破顔して、「良かった」と囁きながら私の手の甲を指先で一撫ですると、その手を引いて行った。  「―――!!」  ただでさえ羞恥で足が震えているのに、その笑顔を見て完全に力が抜けてしまった私は、ストンと椅子に腰を落とすことに。  ――――神様、恩返しは楽じゃありませんっ!  
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