6. 自分で頑張るって決めたから……

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 自転車を元の場所にとめて玄関の扉を開ける。  アンジュの足を軽く拭いて、一緒にリビングへと向かった。  「あれ、いない…?」  瀧沢さんに「戻りました」と挨拶しようと思っていたけど、彼はリビングには居なかった。  自室にいるのかな、と思ったが、なんとなくどっと疲れが出て、私も借りている客間に戻ることにした。  客間のドアを閉めて持っていた荷物を降ろす。  気持ちが随分重くなったのは、大半が濡れているこの荷物のせいでかもしれない。  少しふらつきながらベッドへうつ伏せに体を投げ出した。  手足が鉛のように重い。  気持ちも体も、底のない沼に沈んで行くようだった。  ***  頬を何かが触れたのがくすぐったくて、首をすくめた。  深い水の中にいるのに、頬に触れる感触で、少しずつ意識が浮上していく。  遠くで低い声がする。  「…ながら寝ちゃたんだ………そうに…」  「せっかく…るから…すこし……しておこうか」  低くて、柔らかい声。  私の知っている男性よりも、少し高めの声をしたあなたはだあれ―――。  ゆっくりと重い瞼を押しあげた。  
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